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2008年11月

日本ファンタジーノベル大賞・授賞式

 11月25日、丸の内にあるクラブ関東にて、第20回日本ファンタジーノベル大賞の授賞式およびパーティが開催されました。

 東京銀行協会ビルヂングという建物のなかにあるこの施設は、会員しか使用できない場所だそうでして、エスタブリッシュメントの匂いのする、非常に趣のある会場でした。パーティ会場の窓いっぱいに望める夜景も美しい。

 このような授賞式に受賞者として出席するのは初めての経験なので、とにかく緊張していました。

 登壇されたのは、主催者である読売新聞社と清水建設の役員の方々と、後援者である新潮社の佐藤社長、そして選考委員の先生方。井上ひさしさんと椎名誠さんは欠席されたので、荒俣宏さん、鈴木光司さん、小谷真理さんの御三名でした。 

 会場は関係者や招待客の皆様でぎっしり埋まっておりました(と記憶してるんだけど、舞い上がっていたので、あんまり定かではない)。そのようななか、受賞者によるスピーチというのがありまして、これを思うと、授賞式の前から生きた心地がしませんでした。軽く一杯ひっかけたかったくらいでしたが、さすがに授賞式は素面で臨まなくてはいけないだろうと思い、我慢。

 いざ本番が始まってみると、先にスピーチをされた大賞受賞者の中村弦さんがとても落ち着いていらっしゃるように見えたので、いっそうプレッシャーが高まりました。

 何とかやってのけましたが、人前で脚が震えるという経験は初めてでした。おまけに、あろうことか、スピーチの途中でズボンのポケットに入れた携帯電話のヤツが鳴り出しやがりまして……おいおい、マナーモードにしておけよ。死ぬかと思った。

 幸い、声がでかかったので、皆さんには聞こえずにすんだようですが。

 授賞式が終われば、あとはもうこっちのもんですよ。パーティでも壇上に上がってインタビューを受けるという場面があったんですが、乾杯をすませてアルコールで湿したわが舌は、滑らかを通り越して軽薄の域にまで達していたと思われます。

 パーティでは、日頃なかなかお目にかかる機会のない、新潮社の製作部や営業部の方たちや、出版取次会社の方ともお話できたのが、うれしかったです。

 パーティの後は、場所を移して、ごく内輪だけの二次会。ここで、歴代受賞者の皆さんとお話をさせてもらうことができました。新人だから何か面白い芸でもやってみせろ、とか、グラス空いてるのが見えねえのか、酒を注がんかい! というような体育会系のノリはまったくなく、皆さん優しく接してくれました。

 この賞の受賞者は仲がいい、という話は聞いていましたが、本当にそうで、皆さん快くあたたかな輪のなかに迎え入れてくれ、じんときました。あらためて、この賞をもらえてよかったなあと感じた瞬間です。賞の性格というのは、受賞者によって形作られてゆくものなのだ、ということも腑に落ちました。

 選考委員の先生方からも温かいお言葉を頂戴しましたし、あれほどたくさんの人から優しくしてもらった経験は、初めてでした。ひょっとして今夜俺は死ぬのではないか、と心配になったほど。翌朝、二日酔いで目を覚ましたとき、(ベタですが)昨夜の出来事は夢だったのではなかろうか、という感慨を本気で抱きました。

 夢ではなかった証拠に、財布のなかから、とある作家さんのサインがしたためられた、二次会の店の箸袋が発見されました。うーん、ヤフオクにでも出品するつもりだったのか。

 冗談ではあったと思いますが、箸袋に気さくにサインをしてくださった大先輩も、受賞者の一人。この賞の受賞者は、きっとみんないい人にちがいない。

 それにしても、担当編集者であるOさんをはじめ、関係者の皆様には大変お世話になりました。この場を借りて、あらためてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

(おまけ)

kinenhin

 上の写真は、受賞の記念品としてリクエストさせていただいた、万年筆です。名入れもお願いしました。本当は、タイトルも入れたかったんですが、さすがに文字数オーバーでした。

 この商売をやっていて壁にぶつかったり落ち込んだりしたときは、これを見て元気を出そう、なんて今から思ってるわけです。準備がいいでしょ? 僕もだてに苦労しちゃいませんて。

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断食道場

 先日、いわゆる断食道場に行ってきました。

 夏、忙しさのなか、スタミナつけて乗り切ろうとばくばく食べて、一日じゅうパソコンに向かうような生活をしていたら、どんどん太ってしまいまして。

 もともと、断食そのものに興味があり、というか、ときどき食事を抜かないと調子が悪くなる性質なので、自分でも何度かやってみたことがあります。長くても二日間くらいの完全断食ですが。

 ただ、やはり家で行うと誘惑も多いし、あと、補食とか復食とか呼びますが、断食で空っぽになった胃をじょじょに食事に慣らしてゆく加減がけっこう難しく、つい食べ過ぎて胃に負担をかけてしまいがち。

 今回、少し時間が取れたし、休養する意味も兼ねて、初めてそういう施設に行ってみることにしました。家にいると、どうしても仕事のことが頭を離れなくて、ストレスが抜けなくなっていたこともあり、ノートパソコンと文庫本二冊だけは持っていきましたが、向こうでは仕事のことを考えないつもりで、伊豆にある施設へと向かいました。

 今回の日程は、三泊四日。

 こういう施設では、一般的に、完全に断食したのと同じ日数を、復食にかける。僕の場合、1・5日の完全断食に、1・5日の復食、そして最終日は普通の食事、ということになりました。本当はもっと長く食を抜いて、すっきり感を味わってみたい。が、こいつは仕方ない。

 それでも、もくろみどおり、たっぷり体を休めてやることができました。というか、最初の二日間は、ほとんど寝てばかりいました。施設の専属のスタッフに提供されるマッサージや鍼灸の効果もあり、仕事のことも意図的に頭から締め出したので、じつに久々にぐっすり眠れたのですね。空腹は辛いどころか、むしろ快適。

 プロによる復食は内容も量もタイミングもさすがにばっちりで、そこで調子を崩すこともなく、体がどんどん軽くなり、血のめぐりもよくなってくるのがわかる。

 ヘロヘロの状態で入ったのに、最終日の朝には日の出を見るべく海に向かってジョギングするほど元気になっていました。

 断食道場、どんなものかと思っていたけど、結論としてはよかったです。僕が行ったところは建物が古くて、設備も老朽化しているし、そのへんは快適じゃなかったけど。

 温泉に浸かって旨いものを食べ、酒を飲むのもリフレッシュですが、疲れた体を休めてやろうと思ったら、究極は断食かもしれない。今度はもっと長い期間行ってみたいものです。

 ただ、こういう「趣味」って、まわりの人たちにはなかなか理解されないのが辛いところで。断食道場へ行くというと、食事もろくに出ないところに、どうしてわざわざお金払ってまで泊まるわけ? とあきれ顔でコメントする人がほとんど。僕のなかでは「全然あり」な行為なので、自分のなかの少数派を久々に確認するきっかけとなりました。

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『彼女の知らない彼女』と『DOLL STAR』第1巻、好評発売中です!!

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『彼女の知らない彼女』は、こんなお話

 舞台は2015年の東京・下町。

 主人公、蓮見夏子は高校を卒業して家業の定食屋を手伝っている、21歳。幼なじみの矢吹杏(あん)は、大学へ通いながら女優を目指して劇団に所属している。そんな親友を応援しながらも、心のどこかでは、自分の人生は本当にこれでいいのだろうかと夏子は考えている。

 いっぽう、同じ2015年の別の世界で、村上草平は悩みを抱えていた。

 彼がコーチをしているマラソンのオリンピック金メダリスト、蓮見夏希が、2016年に開催される東京オリンピックの選考レースである名古屋国際女子マラソンまで四ヵ月というところで、故障したのだ。医者の判断ではレースに出場するのは問題ないというが、自身もかつて選手であった村上は、夏希の選手生命を案じて、レースを回避したいと考える。

 ところが、夏希が契約している世界的なスポーツ・エージェントは、契約を盾にレースへの出場を強制する。困り果てた村上は、とある居酒屋で変人めいた初老の男と出会う。井尻博士と名乗った男は、村上の話を聞いて奇想天外な解決法を提示する。

 別の世界の夏希を連れてきて、彼女の影武者をさせればいい、というのだ――――。

                          (新潮社刊・定価1,260円)

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『DOLL STAR 言霊使い異本(ヴァリアント)』はこんなお話

 ちょっと変わった女子高生・乃々果には、ぬいぐるみを突きつけることで、相手にその人が一番恐れているものを見せるという特殊な能力があった。

 彼女はその力を使って悪と対決するが、力を使うことにより、彼らが日頃目をそむけている真の自分に気づかせるという、荒っぽいヒーラー(治療者)の役割も果たす。

 平凡な女子高生である福堂沙穂は、乃々果と出会い、人をよせつけない彼女に魅かれ、友達になろうと接近する。だが、その出会いは、二人を予期せぬ戦いへと巻き込んでゆく――――。

                           (講談社刊・定価650円)

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『DOLL STAR』第1巻も11月21日発売です

 現在Yahoo!コミックにて好評連載中の『DOLL STAR 言霊使い異本』(原作・里見蘭/漫画・槇えびし)の単行本第1巻も、『彼女の知らない彼女』と同じく、11月21日に発売になります。

 →講談社コミックプラスのページへ

 当初は10月発売の予定でしたが、諸般の事情により、11月刊行になりました。以前のエントリで、10月中に『島耕作と四人の女たち』と合わせて本が2冊出ると書きましたが、もう1冊がこの『DOLL STAR』でしたので、結果1冊になってしまいました。失礼しました。

 ネット上ではまだ表紙画像は公開されていませんが、はっきり言ってカッコいいです。槇さんの素晴らしいグラフィックと、デザイナーさんとのガチンコのコラボ。魂の感じられるカバーになっております。担当編集者のSさんとしても会心の出来でありましょう。

 巻末には、里見蘭によるエッセイ「DOLL STAR誕生秘話」と乃々果のイラストもあります。僕のイラストは誰も期待していないかもしれませんが、あまり露出を好まない槇さんの貴重なコメントもありますよ。定価は650円。お楽しみに。

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『彼女の知らない彼女』は11月21日発売です

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(画像をクリックすると、新潮社のサイトへ飛びます)

 クライマックスシーンがマラソンのレース。ということで、担当編集者であるOさんの手配により、大東文化大学陸上競技部の只隈伸也先生に陸上部分の描写に関するアドバイスをいただくことができました。

 あらかじめ初校のゲラをお渡しして、Oさんが設定したポイントを中心にチェックをお願いしたのですが、そこだけにとどまらず、物語の流れまで考慮した、かゆいところに手が届くような貴重な助言を頂戴しました。

 当然、自分でも資料を当たって書いています。が、思い込みによる勘違いもありましたし、実際に現場を知る方しかわかりえない情報も聞かせていただきました。もちろんフィクションですから嘘はあります。でも、事実を知ったうえであえて書く嘘と、知らぬままに書く嘘とでは大きな違いがあります。

 只隈先生のお話には、もう一本陸上ものを書きたくなるほど面白いネタがたくさんありました。そのすべてを盛り込むことはできず、涙を飲んで割愛したものもありますが、再校には可能なかぎりがっつりと反映させました。あらためて御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

 専門家のご協力も得て、日本ファンタジーノベル大賞優秀賞の受賞時より、何割増しか面白くなっていると断言できます。吉實恵さんの手になる爽やかな装画もまぶしい一冊。定価は1,260円。ネット上でも、すでに予約のできる書店がいくつかあります。 

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